さて、いよいよ「玉川温泉」である。
この温泉は主に湯治を目的とした温泉であるので、他の観光温泉とは若干性質が違う。
「温泉でのんびりしよう」と言うより、「温泉で身体を治そう(健康になろう)」という所である。
だから観光的な宿泊設備より 湯治の長期宿泊の設備が整っている。
これを裏返せば、この温泉の効能が素晴らしいと言うことになる。
先程紹介した源泉であるから、効能が少ないはずが無い。
・・・ とは言え、「玉川温泉」の建物自体はしっかりした建物で、一見他の温泉旅館とは変わりない。
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「自然研究路」入り口から見た「玉川温泉」 |
玉川温泉 |
とりあえず大浴場の玄関に入る。
すると券売機がある。
ちなみに大人は600円である。
券を買って、靴を脱いで中に入る。
するとお風呂の入り口のある小さなロビーである。
結構多くの客がいる。
映画館の切符切りの係りのような人がいたので券を渡すと、「貴重品はコインロッカーに入れてください」との事。
そこでコインロッカーを見てみる。
100円硬貨を入れるタイプだが使い終わっても、100円玉が戻ってこない(飲み込まれる)タイプ。
これだけ人がいるのだから雰囲気的にコインロッカーを使ったほうが妥当のようである。
しかしデジカメをロッカーに入れると中の映像が撮れなくなるので、まずはお風呂の画像が撮れるか下見。
お風呂の画像を取れそうであったら、先に撮っておくつもりである。
男湯の入り口の扉を開けると、いきなり「お風呂内での撮影はご遠慮ください」というような張り紙がある。
しかも脱衣所にも客が多いので、こっそりデジカメで画像を撮る雰囲気ではない
・・・ ^^;
そこでデジカメ写真を諦めて、ロッカーに貴重品と共にデジカメを入れる。
そして再び男風呂への扉をくぐる。
脱衣所で服を脱ぎ温泉へ。
すると温泉内はとても広くて整っている。
強酸性の源泉だけに鉄製のものは少なく、ほとんど四方八方木で覆われている。
鄙びた乳頭温泉郷とは違い、ここでは『しっかり健康入浴して行ってくださいね』という感じである。
とりあえず入り口付近の「打ち湯」で身体を洗う。
ちなみに打ち湯だけに白湯である。
木の香りがプ〜ンと漂う。檜の香りであろうか・・・
「打ち湯」の木に限らず、他のお風呂も全体的に良い木を使っているようである(当たり前か・・・)。
お風呂全体を眺めてみると、湯治温泉だけに設備が行き届いている。
色々な種類の湯船があるのだ。
源泉が強酸性だけに、基本的に「源泉」そのままの湯船と 「源泉50%」の湯船に分かれている。
湯治客の身体の調子に合わせて選んでください・・・という気配りである。
それだけでなくて、更に温度も「熱め」と「温め」に分けてある。
しかも身体の不自由の人の為に、手摺り等が設けられている。
非常にナイスである。
お風呂の種類も豊富で、「泡湯(バブルバス)」「寝湯」「浸頭湯(深さ10cm程の寝湯)」「打たせ湯」「サウナ室」「箱蒸湯(顔だけ外に出すサウナ)」「飲泉」等色々ある。
まさに『しっかり健康になって帰ってください』という感じである。
まず手始めに「源泉50%」の「温め」の湯船に入る。
色は若干黄色目のような感じがする。
(外で匂いに慣れたためか?)それ程硫黄臭を感じない。
あらかじめ調べておいたHPで 強酸性の湯なので「湯の中で皮膚を擦らないでください。傷口に沁みます」等と書かれていたが、普通に入った感じでは
それ程肌に刺激がある訳でない。
肌と肌を軽く擦ってみても、それ程強酸性を感じるわけではない。
ただし湯の効能はヒシヒシと感じるが・・・
『思ったよりも強酸性という感じでは無いよ・・・。これだったら、山形の蔵王温泉の方が刺激が強かったよ・・・』
と思う。
蔵王温泉も強酸性のお湯で、ついつい濡れた手で顔に触れ様ものなら目がシクシク痛くなってしょうがなかった。
ここの湯はそんな事は無い。
酸性度では日本一かもしれないが、刺激度では蔵王温泉の方が上手であった。
試しに濡れた手を舐めてみたら・・・酸っぱい!恐ろしく酸っぱい!
『これは酢の代わりに料理に使えるな!』と思うくらいに酸っぱい。
酸性だからお肌に良いだろうと湯を顔にも塗ってみたが、さすがに今朝髭剃りをした顎あたりがにジンジンと沁みた。
湯船から上がって、他の湯を物色する。
すると「寝湯」が空いているので入ってみる。
文字通り湯船が浅くて寝ながら入れる湯船である。
身体が半分浮いて何とも言えない感じである。
次は「打たせ湯」に入るが、身体に当たった強酸性の湯が飛び散るので目など開けていられない。
マッサージ効果が気持ち良いが、早々と退散する事にした。
そこで「飲泉」で温泉を飲んでみる事にした。
蛇口は2つあり、一つは温泉(源泉50%)でもう一つは水である。
注意書きを見ると「水で1/5に薄めて、ゆっくり時間をかけて飲むように」との事。
備え付けのコップで1/5に薄めて飲んでみると、味はまるでレモン水そのもの。
『うん、これはいかにも効きそうだよ』と思いつつ、ゆっくりと飲んだ。
すると(薄めても酸がきついので)歯の表面が柔らかくなるのが感じられた。
・・・ 慌てて真水でうがいをした ^^;
そして源泉(100%)の湯船に。
源泉50%の湯船より濃い感じはしたが、それ程変わった感じがしなかった。
肌が湯に慣れた為であろうか?
普段の生活でシャワーを多用している千石は、基本的には「カラスの行水」。
しかも、この温泉での注意事項では一回の入浴は20分くらいにしましょうと書かれていたような・・・
もう30分以上入っているので、一回風呂から上がる事にする。
脱衣所で服を着て、一度ロビーへ。
狭いロビーにはオバちゃんたちが座ってテレビを見ている。
なんかその近くに座りづらかったので、ウロウロとロビーを観察する。
『う〜ん、自販機には とりたてて変わった飲み物が無いな〜』と思いつつ、
ロビーから出る廊下には「宿泊者以外はご遠慮ください」との立て札がたっている。
その廊下入り口の館内案内板には「←自炊部(だっけ?)」「↑マッサージ室」「↓医務室(だっけ?)」等と書かれている。
いかにも湯治目的の旅館という案内板である。
結構すぐに手持ち無沙汰になったので、再びお風呂へ。
再び「打ち湯」をして、「箱蒸し湯」へ。
これは首から下だけ箱に入るサウナである。
入ってみると、それ程熱く感じないのに汗が面白いように出る。
頭は熱せられないので、のぼせなくて良い塩梅である。
『これは良いよ ^^』と心地良い汗をかく。
この時点で、 『嗚呼、何か健康になっているよ』という実感を既に持っいた。
『成る程ここは風情を楽しむ所でなくて、健康になる所なんだ』という事が、
知識でなく経験で分かるようになっていた。
「箱蒸し湯」から出て「飲泉」の真水で水分を補給。
「蒸気湯(サウナ室)」を覗く。
蒸気は源泉を使用しているだろうが、普通のサウナ室である。
「箱蒸し湯」に入った後だけに 『頭まで熱くなって、のぼせてしまうよ・・・』と思いパスする。
そこで「泡湯(バブルバス)」に入って筋肉をほぐそうとする。
しかし既に色々なお風呂に入って身体は柔らかくなっていた。
『もう泡のマッサージ効果などいらなかったよ・・・』と思い、
湯から出て椅子で一休みする。
最後に再び源泉50%の「ぬる湯」に入って締めくくる。
『う〜ん、これで健康にならなかったら嘘だよ・・・』と思いつつ、帰りの途につく千石であった。
玉川温泉のホームページ
http://www.hana.or.jp/~tamagawa/
PS. 帰りに西木村の物産館で手打ち蕎麦(ザル蕎麦800円)を食す。
若干味が「蕎麦五郎」より落ちるのに800円とは高い。
しかし、蕎麦を食した後に鮎の串焼き(当然養殖物であろう・・・500円)を追加して食すと、
蕎麦の後味と絶妙にマッチした。
『蕎麦と鮎の塩焼きの取り合わせって ええの〜ぉ ^^。蕎麦だけで800円は納得いかないが、
鮎の塩焼きと組み合わせて1,300円なら納得するよ・・・ ^^』
『ふむふむ、食(しょく)の食い合わせと言うのは大切だね〜』と思いつつ車を走らせる千石であった。